柾目や板目、無垢や合板など、自然素材の木材はその部分や加工の仕方で呼び方が変わるとともに、その特徴や見た目も異なってきます。そこで今回は、真っ直ぐな木目のある柾目が生み出す木材の魅力やその特徴について紹介していきたいと思います。使用する樹種によっても、表面の色味や木目は変わってくるので、実例とともにその点についても見ていきたいと思います。
柾目とは、丸太の中心を通して切断した時にできる、切断面の木目が平行になる木材のことを言います。それに対して板目とは、丸太の中心を外れた部分を切断するので、切断面の木目が真っすぐ平行ではなく、山形やランダムな曲線を描く木材のことを指します。こちらの一級建築士事務所ささりな計画工房が手掛けた住まいでは、建具や造作家具などに柾目の真っ直ぐすっきりとした木目を取り入れながら、その色の濃淡を丁寧に考慮していくことで、床や天井の木材の木目や色合いを引き立てています。そうした木目の違いをうまく取り入れることでインテリアにまとまりが生まれ、住まいに落ち着きをもたらしてくれます。
丸太の中心を通って切断される木板なので、収縮などによる狂いや反りが小さくなります。その反面、節が少なく大きな丸太が必要となるため、板目材と比べると部材として少量しか得られず、価格も高くなります。こちらの住まいでは、キッチンに柾目の木板を取り入れることで、長さのあるI型キッチンをよりすっきりとした印象にするとともに、背後の壁タイルの賑やかな柄との対比によって、よりそのデザインが引き立っています。
樹種によって色味は異なってきますが、1つの丸太の中でも、中心部分は色の濃い「赤身(あかみ)」と言われ、樹皮に近い淡色の周辺部分を「白太(しらた)」と言います。こちらの株式会社吉川の鯰が手掛けた住まいでは、杉の赤身柾目が用いられていますが、杉の赤身は淡い赤から赤褐色、時として黒褐色となるため、落ち着きのあるインテリアにはとてもよく合う木材となります。
価格が高くなる柾目材であることから、大きな面の壁の仕上げ材と用いるのではなく、建具や家具の素材としてインテリアの一部に効果的に取り入れることもできます。こちらの住まいでは、特徴的な光沢のある赤褐色のチーク材をキッチンの建具に取り入れていますが、壁の色はこのチークの色から決められていて、インテリア全体が調和のとれた高級感ある落ち着きにデザインされています。また、チークの柾目がきれいに揃っている木目のキッチンが、その高級感をより一層引き立てています。
真っ直ぐきれいな木目の木材を屋外に用いて、すっきりとした外観の住まいにすることもできます。こちらの株式会社ワールドガレージドアが手掛けたガレージは、高級な米松(ピーラ)材を取り入れながら、アーティストによる手作りのステンドグラスがはめ込まれています。ピーラの真っすぐきれいな木目と深みのある色合いが、シンプルで落ち着いたブルーの外壁に非常に合っています。ピーラは、米松の質の良い古木のことで、木目がとてもはっきりしていて耐久性も高いことから、屋外にも安心して使える樹種の1つです。
木目が平行に揃っているため、装飾的な部材として用いられることもあります。こちらのVIGOREが手掛けたリビング収納は、リビングの壁が凹んだ部分にオーダーメイドでつくられ、扉には矢羽根貼りで斜めにブラックチェリーの柾目材が貼られています。ブラックチェリーは、木肌が緻密でインテリアを美しく仕上げてくれますし、経変変化が大きな樹種でもあるので、年々変化する色味を楽しみたい方にはおすすめの木材の1つです。樹種によってその特徴は異なってきますので、専門家と相談しながら、住まいにぴったりの木材を選んでいきましょう!
写真:VIGORE