コンバージョンで住まいをより自由なかたちに!その意味と知っておきたい5つのこと

Takashi Sasaki Takashi Sasaki
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コンバージョンという言葉を近年目や耳にする機会が増えてきているのではないでしょうか。‎それは、成熟した日本の社会において、今後ますます注目が期待されることになると思います。そこで今回は、コンバージョンの意味や特徴、そして、それに関して是非知っておきたい事柄を紹介していきたいと思います。住まいづくりをより幅広く考えて進めていくためにも、このテーマについて1度考えてみましょう。

コンバージョンとは

コンバージョン(conversion)とは、英語で変換や転換といった意味を表しますが、建築においては、もともとの建物の用途とは違う使い方に合わせて建物を改装していくことを言います。用途をそのままに建物を新しくしていくリノベーションに対して、コンバージョンは用途変更とともに建物を刷新していく点で異なります。こちらの藤本高志建築設計事務所が手掛けたプロジェクトでは、鉄骨造4階建の倉庫が住まい+オフィスへとコンバージョンされています。

写真:冨田英次

天井の高い開放的な室内

住宅としてではなく、もともとオフィスや倉庫などとして建てられたものを使うため、天井が通常の住宅よりも高くすることができたり、余裕を持ってゆったりと部屋と部屋を仕切ることができるため、広々とした開放的な室内空間を実現することもできるでしょう。開放的な住まいについては、「開放的なプライバシーを守る家「エンガワとドテのイエ」」でも紹介しています。

写真:森川貴史

コストの安さ

すでに建っている建物を改装することになるので、もともとの構造躯体を利用することによって新築するよりも低いコストで建て替えることができます。また、工期の短縮にもつながり、そうしたこともコストが抑えられる一因となります。こちらのマンションのワンルームから設計事務所へのコンバージョンでは、構造躯体をそのままに、最小限の改修工事によって、施主支給品他、不足家具類の補充も合わせて、わずか400万円で魅力的なインテリアへと生まれ変わっています。

環境にもやさしい

古いものを壊して新しい建物を建てるスクラップアンドビルドが当たり前となっている日本では、コンバージョンは既存の建物を有効に再利用するエコロジーな方法の1つとしても注目されています。こちらのイギリスにおける150年前の学校の教室を住宅の一室へとコンバージョンした例のように、地震などの大きな災害がなく、建物の寿命が長いヨーロッパでは、コンバージョンは当たり前のように以前から行われてきています。日本でも、耐震補強などによって、古い建物でも災害に強い住まいとすることができるので、そうしたことも専門家としっかりと相談して、安心して暮らしていける住まいとしていきましょう。

写真:NORIKO SAWAYAMA

物件の選択肢が広がる

古い住宅やマンションをリノベーションしようと考えている方も多いと思いますが、コンバージョンも視野に入れることで、倉庫やオフィスも選択肢に入れることができて、より多くの物件の中から選ぶことができるようにもなります。また、住宅へとコンバージョンするだけでなく、こちらのように、町工場の半分を美容院、残りのスペースをイベントスペースとして定期的なマルシェの開催など、空洞化していた地域に人々が集まり、再び活気を呼び戻すこともできるでしょう。

問題点

コンバージョンによって住宅へと用途変更される数は、まだまだ少ないと言わざるを得ません。その一因となっているのが、法的な条件をクリアすることが難しいことが挙げられるかもしれません。もともと住宅ではない建物を住宅へと用途変更するには、多くのクリアしなければならない建築基準法や条例などがあります。また、すでに人口減少社会に入ったにも関わらず、いまだに空き家が有り余る中、大量の新築の住宅が建てられ続けていることもその一因となっているでしょう。

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