郷愁をかき立てる古き良き日本の家

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大泉の舎, 有限会社中村建築事務所 有限会社中村建築事務所 Eclectic style houses
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山梨県を拠点に活動する中村建築事務所が手掛けた「大泉の舎」は、誰もが心の中に持っているであろう”日本の原風景”の中に建てられた”古き良き日本家屋”といったイメージを喚起させる住宅です。日本の原風景なんて知らないという若い世代にも、高層ビルに囲まれた都会で生まれ育った人にも、なぜか懐かしさと郷愁を感じさせるのは、この住宅の佇まいが日本人のDNAそのものに訴えかけるからでしょうか。さっそく見ていきましょう。

外観

敷地は様々な背の高い広葉樹や山野草、竹やぶに囲まれた豊かな自然環境の中にあります。さらに近くには小川が流れているという素晴らしい環境。こちらの外観写真でも「木々に守られて建っている住宅」という表現がぴったりな佇まいです。敷地にはテラスと広々とした庭が設置されています。特に庭は豊かな周囲の自然と合うように、”まるで山から採ってきたような”おおらかな枝ぶりの庭木を選んで植えられた、というこだわりです。

庭&エントランスポーチ

砂利が敷かれた庭の小径を歩いて行くと玄関があります。玄関に辿り着くまでの緩やかなカーブのある小径は、住人はもちろん訪れたゲストにも整えられた庭の花木を愛でる時間を与え、一歩ずつ歩を進める度にこの住宅と家庭が持つ世界感にいつの間にか浸ることができるという機能があります。住人にとってはそれは「家に帰って来た」という大きな安心感につながることは言うまでもありません。玄関の扉は古い蔵で使用されていた扉(蔵戸)が使用されています。長い年月を経た扉は独特の貫禄と魅力を発して、まさに住宅の顔である玄関に個性を与えています。細かい縦格子を通して漏れる室内の光が優しく友好的な雰囲気を作ります。

玄関土間

玄関を入るとそこは広々とした土間があります。縦格子の玄関扉や大きく取られた開口部によって自然光がたっぷり差し込む明るい空間です。出入り口としての機能はもちろん、広々としたスペースにテーブルセットを置いてちょっとした来訪者をもてなす場所としても機能しています。これは来訪者が靴を脱がなくて済み、住人も散らかっているかもしれない室内に人を入れなくて済むという日本家屋の機能的な一面です。皆さんも経験があるのではないですか?宅配便のようにただ受けとって済む用事ではなく、かといってリビングに通すほど親しい相手ではない… という出来事が。モダンな家屋は玄関とリビングが仕切り無く直結していたり、こういった特に田舎の伝統的な家屋で見られるような広い玄関は減りつつありますが、実は高い機能と実用性を兼ね備えたスペースなのです。

リビングルーム

リビングルームは吹抜けとテラスに面した大きな開口部の開放感が気持ちのいい空間です。室内は無垢材と漆喰による丁寧な仕上げで、視覚的にも触感的にも自然に包まれているかのような居心地の良さを感じることができます。またこちらのリビングルームの大きな魅力が猫間障子です。猫間障子とは下部にガラスを嵌め障子を上げ下げして使用できるようになっている障子のこと。日差しが強いときには上下共に閉め、読書の際など手元の一部分だけ日差しを遮りたいときは上部のみ、などフレキシブルな使用が可能です。

​ダイニングルーム

ダイニングルームはワイドに取られた開口部から竹林を眺めることができます。まるで隠れ家の料亭に来たかのような特別な雰囲気がありますね。シンプルモダンなダイニングテーブル&チェアと、和紙のような優しく穏やかな光を落とす照明で、落ち着きのある大人の空間に。

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