太陽と風が追いかけるランドマーク的な家—自然光と風で室内環境を最適化

Michiko JUTO Michiko JUTO
3Dan Box, 株式会社CAPD 株式会社CAPD Eclectic style living room
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広島とニューヨークに拠点を置く建築設計事務所株式会社CAPDによるこのプロジェクトは、既存の2階建て店舗併用住宅の立て替えに伴って、1階にお客さん専用の駐車場を新たに確保した店舗空間、2階と3階に居住空間を配置したものです。交通量の多い国道に面し、四方が開けた敷地でいかにプライバシーを確保しながら自然光を取り入れランドマークとなる建物をつくるかが課題でした。さっそく紹介したいと思います。

ランドマークにふさわしい外観

各層がずれて重なり合う 個性的な外観。黒と白の配色でインパクトのあるランドマークになっています。そのシャープなフォルムはまるではさみで作り出すヘアカットを連想させる理美容室としてのアイデンティティを意識しているようです。各層は全く同じ形態とボリュームで構成され、同じだけ東西南北にずれています。これは単なる意匠的な理由ではなく大事な機能的意味合いを持っています。ずれたことによって生じた隙間は自然光や風を取り入れる装置となり、一日中室内環境を快適に保ちます。

換気や採光を考慮した窓の扱い方

3階のプライベート空間である寝室に朝陽が注ぎ込み、気持ちの良い目覚めを迎えます。異なる方方角に開口部を設けることで風の通り抜ける道ができますね。低めのベッドが空間を広く見せます。さあ住人の1日の動きを太陽が追いかけ始めます。

配色のセンス

東に向って階段を降りるとそこは家族みんなで使うリビングスペースやキッチン、浴室等が配置されています。オープンな設計のリビングダイニングキッチンエリアは、爽やかなライトブルーの壁やガラスで仕切られたダークな色調の階段などがアクセントになっています。 自然光がいっぱい差し込むダイニングで朝食をいただき、1日の活力が得られそうですね。

採光の工夫

2階の南側は壁で遮断された光庭になっています。太陽高度の高い正午には上階の白い壁に反射した自然光が間接的に入ってくる仕組みです。階のずれによって生じた隙間が半ば閉ざされた室内環境をうまく制御しています。

パライバシーの保たれた明るいバスルーム

ガラスで仕切られたトイレ、脱衣所と浴室は建物の西側に配置されています。浴室の奥は坪庭風の外空間となっており、プライバシーを保ちながら気持ちの良い自然光と風が入ってきます。全体を白で統一した清潔感溢れる室内に黒の窓サッシが洗練されたイメージを与えています。

家の一角に欲しいワークスペース

同じく2階の西側に設えたワークスペース。天窓によって眩しい西日をうまくコントロールしながら自然光を取り入れています。キッチンから連続するブルーの壁と浴室に繋がる坪庭に向って設けられた小さな換気口が小さなスペースにも快適な環境をもたらしていますね。

機能性に意匠性と優れた住宅

ヘアサロンとして直射日光を避けるべき店舗部分は上階の壁の角度及びずれによってやわらいだ自然光のみが室内に入ってくる仕組みになっています。人工的な装置に頼らず心地よい太陽の光や風の通りを利用した室内環境の最適化を優れた意匠が担っている希少なプロジェクトと言えるでしょう。

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