和モダンという言葉は、日本でもすっかり定着したのではないでしょうか。伝統的な形とモダンな形の融合されたこのスタイルは、現代の生活スタイルや住宅事情などにもかなりフィットしており、取り入れたいと思われる方も増えているはず。今回は和モダンデザインを取り入れて伝統を楽しもう、と題し、気持ちよく融合した形をご紹介します。日本人としてのDNAが喜んでくれそうなデザイン、取り入れていきたいですね。では早速見ていきましょう。
和モダンを感じるファサード、と聞くと一体どんなものなのか、と頭をひねるかもしれませんが、例えば格子をモダン風に、と言われると方向性が見えてくるのでは?こちらのお宅は大阪の建築家・神谷徹建築設計事務所の手によるもの。白と黒のモダンな形の建物に、木格子が不思議にマッチしていて、夕刻になると内側からの明かりがほのかに感じられて、とてもあたたかな印象が。開放的で部屋にもたくさん陽が取り込めそうですね。
和モダンにバリエーションが多くあるのは、伝統的なテイストを強く出すタイプとモダンさを強調するデザイン、そしてその中間という幅広い可能性があるからでしょう。こちらのお宅は、伝統をベースとして、モダンな要素をあちこちに取り入れたデザイン。京町屋を意識して建てられたもので、天井の網代は、古くから建具として取り入れられたものですが、障子には大柄の市松模様、畳は縁無しの正方形、ととても和モダンテイストの濃いデザイン。遊びが感じられますね。
谷崎潤一郎の陰翳礼讃でも取り上げられたとおり、日本の伝統家屋では陰の中に美しさが見いだされたわけですが、こちらのお宅では、まさにその言葉が思い出されるようなデザインが展開されています。黒いガルバリウムのシャープなファサードの家の玄関を入ると、打って変わって和の空間が。漆喰の壁に檜の上り口、間接照明が優しく包み込みます。二階の床部分に組木欄間が取り入れられており、玄関に優しく影を落とします。和の心を強く感じられる素敵なお宅ですね。
昔ながらの和室では、床の間や神棚など、伝統的な生活にごく普通に使われてきた空間がありますが、今日ではそういったものを利用される方も少なくなってきているのでしょうか。新築やリノベーションで和の空間を作るにあたり、形ばかり残される場合と、すっきり取り払われる場合とがあるようです。こちらのお宅では、ちょっと不思議な形で再利用されています。右側の部屋では、床の間であったはずの奥まった空間に、棚が取り付けられ、テレビ台として利用されています。左の部屋では同様にデスクスペースに。モダンなスペースの活用法ですね。
日本の文化の中でもお手洗いは、形はもちろんのこと、使い勝手も伝統的なものに比べて劇的な変化を遂げたものと言えるのではないでしょうか。ウォシュレットなど、世界に先立つ技術を持っているなかで、伝統的な要素を取り入れようとすると、どんな形になるのでしょうか。こちらのお手洗いは、見事なまでにスタイリッシュに和モダンなお手洗いを実現しています。薄暗い室内を月見窓から差し込む光が照らしだし、壁のモダンな唐草模様を映し出します。光と影の演出が、とても日本的です。