近年、世界各地の住宅スタイルが日本でも積極的に取り入れられ、その生活スタイルを楽しむことも珍しくありません。日本の住宅も良い要素を取り入れながら日々進化していくものですよね。日本の和を基調にした前衛的な住宅のスタイルにはどんなものがあるのでしょう。例えば、北欧の持つ重厚感と暖かさ、広さを合わせた和モダンな住宅など。そこで今回ご紹介するのは、シンプルで上品な雰囲気を持つ和モダンの住まい。澤村昌彦建築設計事務所が手掛けたこちらの住まいは、どこなく北欧のテイストを感じることのできる和風モダンの家です。和の持つ時間の流れを変えてしまいそうな「美」と雪深い北欧の暖かな住まいを連想させるような「温もり」を兼ねたバランスのいい和風モダン住宅です。
近隣との距離も程よい敷地に建つ本住宅。大きな切妻の屋根がかかった外観は重厚感を感じることができます。長手方向に広がる木仕上げの外壁にウッドテラスは外観の印象に柔らかさをもプラス。袖壁とたっぷりの軒の出によって室内が日陰になってオープンながらもプライバシー性のある空間へ。土間から連続するような室内、ウッドテラスは内部と外部を緩やかに一体的過ごすことができそうです。
玄関に踏み込めば二段式の蹴上と、正面には水のある小さな庭園が望めます。シンプルな白い壁に褐色の木仕上げが上品な雰囲気を醸し出す優雅な玄関ホール。訪れる人をホッコリ落着きを与えてくれる空間です。お邪魔しようと靴を脱いで上がりこめば、足元に濃淡が美しい木フローリング。マッドな質感と木の持つ自然な濃淡、庭園も相まってモダンな和風住宅を楽しむことができます。
木の滑らかな質感を感じることのできるリビングスペース。開口に向かって下がる天井仕上げは滑らかなカーブを描く柔らかなフォルムに。空間に広がりを感じるような錯覚を起すように、間接照明よって照らされる仕上げ。一層洗練された空間を演出しているようです。まるで包まれるような暖かさを感じることができるリビングです。
リビングからウッドテラスのある庭を望めば仕上げの異なる空間を楽しめます。一方はフローリングにウッドテラスに連続する素足の空間。もう一方は靴を履いて過ごす土間から石テラスに連続する土足の空間。どちらも空間を共有しながらことなるスタイルを楽しむことができます。天気によって使い分けることもできる空間は、太陽や風の流れを年間を通して味わうことができそうです。
庭園を楽しむ最大のポイントとはなんでしょう。やはり限りあるスペースをいかに楽しみ広がりを感じる世界を観察するかということでしょうか。例えば盆栽にも目利きの方がいるように素人でも盆栽に人や小動物の模型小物を置けばすぐに楽しむことができますよね。庭園は水があって緑を設えれば、寄ってくる小動物の姿に小さな世界を感じ取ることができますよね。住空間のちょっとした楽しみが深まる大事なスペースかもしれません。