床デザインと素材

A.Imamura A.Imamura
Idokoro, ma-style architects ma-style architects Minimalist study/office
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室内で一番体に触れる機会が多いのはどこでしょうか?答えは、「床」。床は、特に部屋の印象を大きく左右する一方、なかなかそう簡単には変えられないものです。住宅の内装を考えるとき、どのような床材を使うかによって、部屋の印象や住まい手の気持ちに大きく影響を与えます。インテリアスタイルとの相性、メンテナンスの簡易、機能性、健康面など、床材や床デザインを選ぶ際にみておきたいポイントをおさえながら、いろいろな床デザインをご紹介していきます。

無垢フローリング

木質フローリングは、大きく「無垢フローリング」と「複合フローリング」に分けられます。「無垢フローリング」は、単層フローリングとも呼ばれ、木の質感を感じる床材の代表格です。無垢材の床デザインは、年月を経るごとに魅力が増していき、経年美化や素足での質感を楽しみたい方には最適の床材です。スギ・マツ・ヒノキなどは一般的に柔らかいものが多く、こちらの松永鉄快建築事務所が手がける家の様に、無垢材を使用した床デザインは、足触りがよく、見た目にも温かみがあります。

無垢材の床デザインのデメリットは、表面強度が低く、キズが付きやすい点でしょうか。無垢材という特性上、温度や湿度の変化によって伸縮や反りを生じやすいというデメリットを理解しておく必要があります。しかし最近では、耐久性や寸法安定性を高めるため、特殊な加熱処理を施し反りのデメリットを軽減するものや、床暖房に適したタイプも揃っています。

​複合フローリング

「複合フローリング」とは、2層以上の層をもつフローリングのことをいいます。無垢フローリングに比べて、反りや膨張・伸縮が起きにくく、メンテナンスも楽です。遮音タイプもあるので、マンションなどの集合住宅では、この複合フローリングが圧倒的に多く使用されています。複合フローリングは、色や樹種も豊富で、ワックスがけ不要のものやアレルギー対策を施したものなど、製品の種類が非常に多彩です。一方デメリットは、一般的に表面の板が0.3㎜と薄いので、物を落としたへこみやペットの爪なによるひっかきキズが目立つ点や見た目に高級感に劣るといったデメリットもあります。

化粧シートタイプ

樹脂や紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの、(多くはプリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなどと呼ばれる)基材を張り合わせたものを化粧シートタイプと言います。シートを重ねたり、表面加工を施すなど、メーカー独自の技術開発によって、本来の自然素材の見た目に近い雰囲気を持つ床デザインの商品もみられます。最近では、石目模様や抽象柄などを取り入れたタイプもラインナップされ、ナチュラルなインテリアだけでなく、モダンな空間にも合わせることが可能です。

こちらはMA-STYLE ARCHITECTSが手がける室内。白くモダンな床デザインにあえて一部分木材床を組み合わせることによって、モダンながらもナチュナルな住宅の雰囲気が演出されています。このように異なる床デザインをインテリアに合わせて組み合わせるのも素敵ですね。

Photo : Kai Nakamura

コルク素材の床

コルク素材の床をご存知ですか?コルクの樹皮を原料とし圧縮成形した木質系の床材です。コルクタイル、コルクフローリングとした商品も流通しています。堅牢で耐久性に優れ、吸音性、断熱性も高く、適度な弾力性があるので、足腰への負担も少なく、万一転倒しても衝撃が緩 和されるという特徴があります。無垢材同様、温かみのある素材なので、高齢の方の居室や子供部屋、寝室などに向いているでしょう。無塗装のもの、ワックスやウレタン塗装仕上げなどもあり、性能はさまざまです。ナチュラル色からダークな色合いまでカラーバリエーションも豊富で、インテリアにも合わせやすくなってきました。二世帯住宅や高齢の方に配慮したバリアフリーの家などには最適な床素材と言えるでしょう。

石の床デザイン

外部の床に使う石材と比べ、室内床に使用する石は、耐候性などは関係が無いため用途やインテリア性などを考慮して石素材を選ぶ必要があります。リビングルームの床などに使用する石は大理石が一般的で、近年は、温かみのあるライムストーンの半磨き仕上げなどもよく見かけるようになりました。 キッチンやトイレなど、水を使用する場所では、一般的に衛生面やお掃除のことを考慮して吸水性の高い石材は避けたほうが良いでしょう。 特にトイレの場合は、尿やトイレ用洗剤が飛散した場合、石材表面の光沢に落したりすることもあるので注意しましょう。 インテリア性を優先し、吸水性の高いライムストーンなどを使用する場合は、石材用コート剤などで保護する等の方法をとると良いでしょう。

コンクリートの床

こちらは株式会社クラスコデザインスタジオが手がけるコンクリートの床の室内。無機質なコンクリート床デザインの上にパレット式の木質フロアを自由に組み合わせることで、コンクリート剥き出しの無機質な空間の中にクリエイティブなインテリアを可能にします。コンクリート剥き出しの無機質さが、むしろ自らカスタムする楽しさを生み自分らしくインテリアをコーディネートできるデザインに仕上がっています。

コンクリートの床素材は、耐久性と修復にかかるコストパフォーマンスに優れています。最近では、コンクリート床面に立体感のある自然石や天然スレートなどの割り肌調、レンガ模様、木目模様などの風合いを表現するコンクリート床デザインもあり、豊富なバリエーションからデザインが選べます。

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