ガリバー旅行記といえば日本でも知られた有名なお話。主人公が巨人や小人の国を訪れるという大人も子供も楽しめる内容で親しまれています。今回ご紹介するのはそんなガリバーになったような気分を味わえるという住宅で、BE-FUN DESIGNにより手掛けられました。天井高や部屋の大きさ、空間同士のつながりを変えることでさまざまなスケール感が生まれています。では詳しく見て行くことにしましょう。
敷地は都心の住宅街にあります。3階建ての建物内にオーナーの住宅と賃貸用の住宅およびオフィスが配されている賃貸併用住宅です。三角屋根を持ついわゆる「家型」のボリュームの一部を切り取ったようなシンプルでモダンな佇まい。正面ファサードで見て取れる二つの角窓が外観にアクセントを添えています。
まずこの家の名前の由来ともなった空間「ガリバーゾーン」をご紹介します。天井の高さは1.3メートルほどしかなく、大人は屈んでしか入ることができません。子供も大人も普段とは異なったスケール感を味わうことができます。特に子供たちにとっては遊び心をくすぐられる特別な空間となるでしょう。全面開放のできる窓に切り取られた外の風景も普段とは異なる印象を与えています。
こちらはリビングルームの様子です。屋根勾配をそのまま生かした吹き抜けの天井が開放感を与えてくれます。さらに屋根の一部はガラスとなっているため、太陽の光がたっぷり入り、空を見上げることができる明るく気持ちのよい空間です。内装は白とフローリングでナチュラルな雰囲気。家族の団らんにぴったりなくつろぎのリビングルームです。
そしてこちらが半階下がったキッチンおよびダイニングスペースからリビングおよび「ガリバーゾーン」を望んだ様子です。子供たちは自分たちだけの空間としてガリバーゾーンを楽しんでいるようですね。とはいってもオープンなスペースですから、キッチンやダイニングに居ながらにして子供たちの様子を窺い知ることができます。
別の角度からダイニングキッチンを見てみましょう。キッチン部分は天井が高く開放感があります。また白を基調としてシンプルにまとめ、階段なども軽快なデザインで仕上げることで、圧迫感のないのびのびとした空間となっています。
最後に1階にあるオフィスの様子をご紹介します。ご覧の通り床レベルは地面より下げて設定されています。実はこの空間にも上部に開口のあるロフトスペースがあり、床レベルを下げることによって天井高を確保してこのスペースを実現させているのです。このように床や天井をさまざまな高さに設定することによって、視線の高さや空間の感じ方も自動的に変わり、変化に富んだ空間体験を楽しむことができます。