都会に住んでいると自然に囲まれた生活に憧れたりしませんか?最近は自然溢れる里山や地方に移住する方が増えているので、別荘のような住宅が永住目的のために建てられるケースも少なくありません。今回紹介するのは山荘ですが、そのスケール感と丁寧に作りこまれたディテールは定住希望の方にも大変参考になる住まいです。ATELIER137 ARCHITECTURAL DESIGN OFFICEが手がけた森に佇む山荘、さっそく見てみましょう。
清々しい緑に囲まれた敷地に建つ80坪という非常にゆとりのある平屋の山荘です。南北に細長く2面が道路に面しており、本来道路側は閉じて視線を遮りたいところですが、寒冷地という土地柄、採光を最大限に取り入れるため格子を設えることでプライバシーに配慮しました。結果としてファサードに開放性が加わり、同時に和モダンな雰囲気を持った瀟洒な佇まいになりました。
陸屋根の水平方向の直線と箱型の形態がモダンな佇まいですが、 周囲の自然環境によく馴染むよう落ち着いたダークブラウンの外壁を採用しました。このダークブラウンの外壁は エステックウッドという杉板に窒素加圧処理により薬品を使わず優れた耐久性をもたせたもので、環境にも優しいんです。ゆったりとしたアプローチに続く玄関ポーチには専用の屋根を架けており、伝統的な建築要素も取り入れた和モダンな雰囲気を漂わせていますね。
庭側の外観です。建物をL字型に配置し、半分閉じたプライベートガーデンを設けています。隣接する国立公園の景色も取り込んだ羨ましい庭空間です。建った瞬間にすでに周囲と馴染んでいる建築は時間を経るとともにさらに味わいを増していくことが多きのですが、この住宅はまさにそんな佇まいと言えるのではないでしょうか。
モダンなキッチンには、ウッドフローリングと相性の良い綺麗な木目のキッチン扉を設え、ナチュラルなインテリアに統一しています。左手には道路側に設えた格子がガラスを通してその規則的な影を室内に落しています。柔らかに視線を遮りながらきちんと採光と開放性を確保することができました。タイルを貼ったマッシブなエレメントにはビルトインの薪ストーブを設置しています。身体に優しい暖を提供してくれるスト—ブは機能的でありながら空間のアクセントにもなるんです。そしてこのタイルを貼った柱のキッチン側は冷蔵庫や生活感を感じさせるものをうまく収納するスペースになっています。
キッチンと並列して動線に無駄のない位置にダイニングエリアを設けています。庭に向って開口を全開すれば外空間と一体化し気持ちの良く食事ができそうですね。L字型の空間が異なる視界を生み出し、窓に反射する木々の姿さえ絵のように演出してくれます。
ダイニングから続く屋根の架かったテラスは第2のリビングともダイニングとも言える半屋外的な団らんの場です。森に囲まれた山荘ならではのアウトドアの楽しみを是非とも満喫したいですね。
リビングエリアです。キャビネットにはキッチンの扉や引き出しと同様の素材を採用して統一感を出しています。アースカラーを基調としたインテリアコーディネートの中でもひと際存在感のある大きなソファセットは確実にくつろげそうですよね。ナチュラルな雰囲気を一層醸し出す木枠の開口から飛び込んでくる太陽の光のみならず緑の目映い景色が気持ち良い空間を演出してくれます。
道路側の格子は柔らかく視線を遮り、対話をもたらします。時間帯によって格子が変化に富んだ陰影を室内に届けてくれるのでしょうね。そして夜間にはこの山荘が森の中で柔らかな光を灯し、その瀟洒なシルエットを描き出すのでしょう
和室もあります。コーナー窓からはLDKからとはまた違った風景を眺めることができる落ち着いた居室です。
寝室にも2方向に面したコーナー窓があるんです。気持ちの良い朝を迎えられそうな木立の景色が目の前に広がります。
そして浴室の開口も全開可能!真っ白なタイルで統一した浴室と浴槽からは揺れ移ろう木の葉を楽しんだり、新鮮な山の空気を浴室内に取り込んでくつろぎのバスタイムが満喫できそうですね。自然の厳しさ、優しさをダイレクトに感じる場所では都会では無関係だった不便さもあるのかもしれません。しかし都会を離れて自然に囲まれた暮らしだからこそその中に小さな喜びや驚きの発見がある贅沢で快適なライフスタイルが可能なのかもしれませんね。